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華のしずく~あなた色に染められて~

第5章 【華のしずく】~永久(とこしえ)~

 珠々は秀吉が用意した打ち掛けに小袖を身にまとっていた。黒の地色に紫、赤、白と色とりどりの菊と萩の花が大きく描かれている打ち掛けはまだ年若い珠洲には少々地味なようにも見えるけれど、内に着た小袖の淡い桃色とよく調和している。
 派手やかな色目のものよりこの全体的に落ち着いたものの方がかえって珠々の可憐な美貌を際立たせていた。この着物の選び方一つ見ても、秀吉の趣味が悪くない―、むしろ上品な好みだと察せられる。

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