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華のしずく~あなた色に染められて~

第5章 【華のしずく】~永久(とこしえ)~

 小姓が躊躇うそぶりをわずかに見せると、秀吉の口調が強くなった。
「構わぬ、俺が良いと申しておる」
「承知つかまりました」
 小姓が屏風の向こうへ消えると、襖が静かに閉まる音がした。二人だけになった部屋で、秀吉が言う。
「先刻の物言いは、確かにいかにも無礼であったやもしれぬが、今度はちゃんと申そう。どうだ、俺の側に仕えぬか」
 その眼差しには、これまでにない真剣さがあった。

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