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華のしずく~あなた色に染められて~

第5章 【華のしずく】~永久(とこしえ)~

 秀吉は愕きに眼を見開き、思案の末、ゆるりと頷いた。
「見上げた女じゃ。女子にしておくのは惜しいほど肝がすわっている。それほどの度胸と器量、もし、そなたが男であれば、敵対すれば怖ろしき相手となったかもしれぬ。信成殿はまたとなく得難き妻を持たれて、果報者よ」
 秀吉は先ほどの小姓を振り向き、顎をしゃくった。
「藍丸(らんまる)、あの品をこれへ」
「は、―しかし」

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