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　しかし、ここ朱雀の国は今でこそ表向きは青龍の国の同盟国となってはいるものの、元を正せば、互いに戦(いくさ)をし合った敵同士なのだ。しかも、その戦で前(さき)の朱雀の国の領主佐竹信成(のぶしげ)は二十四歳という若さで切腹、以来十九年間、この国は青龍の国の属国として事実上は隷属するような状態にあった。
　十九年前、信成は後嗣のないまま亡くなり、戦で圧倒的勝利をおさめた青龍の国の領主羽柴秀吉の支配下に入ったのである。秀吉はあくまでも形式上は朱雀の国を独立国として認めた。