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華のしずく~あなた色に染められて~

第6章  雪の華~華のしずく~

 だが、現実として信晴は徳姫に指一本触れるどころか、閨へ足を踏み入れることさえなかった。良人に見向きもされぬ妻―、それも新婚初夜から。徳姫の中に初めて異性に触れられる恐怖がないと言えば嘘になるが、それよりも、端(はな)から打ち捨てられたことへの衝撃と挫折感の方がより大きかった。
「姫さま―」

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