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華のしずく~あなた色に染められて~

第6章  雪の華~華のしずく~

 柏木が痛ましげに徳姫を見つめる。その視線すら、どこか自分を憐れんでいるように思え、徳姫は顔を上げることができなかった。訳もなく身体が慄えてきて、徳姫は我と我が身を両手でギュッと抱きしめた。
―寒い。
 とにかく寒かった。嫌な感じの悪寒がひっきりなしに押し寄せ、身体中が粟立ったようだ。
「姫さま、いかがなされました? 慄えておいでになられますよ?」

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