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華のしずく~あなた色に染められて~

第7章 【雪の華~華のしずく~】二

「姫さま」
 背後で柏木の驚愕した声が響いても、振り向こうともせず、徳姫は庭を眺め続ける。
 柏木はやや遅くなった昼の膳を運んできたのだ。
 まるで何ものかに憑かれたように庭を見る徳姫の様子に、柏木は人知れず、ひっそりと吐息を洩らした。
「このような日に外の空気に当たられては、お身体に障りましょう。それでなくとも、まだお風邪が癒えられたばかりでございますのに」

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