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華のしずく~あなた色に染められて~

第7章 【雪の華~華のしずく~】二

 が、徳姫は依然として庭に茫とした視線を投げたまま、ゆるりと首をめぐらせた。
「花が―きれいだと思って」
「真に、見事でございますね」
 柏木が相槌を打つと、徳姫は淡く微笑んだ。「雪を被った花たちを見ていると、花嫁御寮を思い出すの、真っ白な綿帽子を着た可愛らしい花嫁。きっと誰にでも慈しまれ、大切にされるのでしょうね、そんな花嫁は」

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