テキストサイズ

華のしずく~あなた色に染められて~

第1章 【華のしずく】~出逢い~

「昼間も申したであろう。いつまでその強情さがもつかなと」
 男の荒い息とくぐもった声が耳元をくすぐる。その声は昼間のただ揶揄するような響きが込められていたものとは異なり、異様な粘りを帯びていた。
「いやっ」
 珠々は夢中で暴れ、助けを求めた。あの能面のような顔をした老女―確か楓とかいった―、誰でも良いから、今すぐに自分をこの場から救い出して欲しかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ