テキストサイズ

華のしずく~あなた色に染められて~

第8章 【雪の華~華のずく~】 三

 あまたの侍女を連れてならばともかく、乳母の柏木一人を伴ったとて支障はないとも思えたが、それでなくとも不仲だと囁かれている信晴との夫婦仲である。これ以上、要らぬ波風を立たせたくないというのが徳姫の気持ちであり、また、柏木も姫のその心情は痛いほどよく判っていたから、敢えて伴をするとは言わなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ