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華のしずく~あなた色に染められて~

第8章 【雪の華~華のずく~】 三

 貞心院の口調には、とがめるような響きがある。流石の信晴も罰が悪そうな顔で、そっぽを向いた。
「ご夫婦の仲が睦まじいのは、けして悪しきことにはござりませぬが、この時刻、お館さまには表でなさることが山ほどもございましょうに」
「申し訳ございませぬ」
 信晴は気まずげな表情で小さく頭を下げ、踵を返した。大方、表御殿へ戻るに相違なかった。

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