華のしずく~あなた色に染められて~
第8章 【雪の華~華のずく~】 三
「清林院さまは長らくお子に恵まれず、お子に恵まれるようにとの願いをこの絵に託して描かれたとか。信晴さまを身ごもる前、亡き殿、実徳院さまが子宝を願うなら、この絵を持っているとご利益があるやもしれぬと申され、私に下されたのじゃ」
「そうでございますか」
この一枚の絵は、はるかな時のうつろいを経ていると共に貞心院や清林院の―様々な女の想いと祈りが込められているのだ。徳姫が頷き、また掛け軸を眺めていると、再び貞心院の声が響き、現実に引き戻された。
「そうでございますか」
この一枚の絵は、はるかな時のうつろいを経ていると共に貞心院や清林院の―様々な女の想いと祈りが込められているのだ。徳姫が頷き、また掛け軸を眺めていると、再び貞心院の声が響き、現実に引き戻された。