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華のしずく~あなた色に染められて~

第8章 【雪の華~華のずく~】 三

 貞心院が風呂敷を丁寧に解いてゆく。徳姫は固唾を呑んで、その手許を見つめた。中から現れたのは一枚の着物であった。貞心院はその着物を取り上げると、さっと徳姫の前にひろげて見せた。
 打ち掛けが徳姫の手前に置かれている。黒地に紫、赤、白と色とりどりの菊と萩の花が大きく描き出されている模様が全体的に散っている。年若い徳姫が見ても、かなりの上物であろうと察せられる打ち掛けであった。

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