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華のしずく~あなた色に染められて~

第8章 【雪の華~華のずく~】 三

 貞心院の心は今、はるかな昔に還(かえ)っているのだろう。その眼は、はるかな過ぎ去った日々を見つめている。
 が、それも一瞬のこと、貞心院はすぐに元の表情を取り戻し、微笑みを浮かべた。
「そういう経緯(いきさつ)もあって、これをお徳さまに着て欲しいと思うたのですよ」
「はい、歓んで」
 徳姫が素直に応えると、貞心院も笑顔で頷いた。

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