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　しかし、その貞心院に比べるべくもないけれど、この秀れた女性の才覚のたとえほんの少しでも我が身にあれば、信晴にこれほどまでに疎まれることもあるまいと、徳姫は我が身を情けなく思わずにはおれなかった。
　徳姫は庭先のつくばいに投げ入れられていた椿を思い出していた。