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華のしずく~あなた色に染められて~

第8章 【雪の華~華のずく~】 三

 ならば、自分も、現在のこの状況、たとえ良人に顧みられぬ妻という立場に甘んじていても、今の自分にできることを精一杯やってみたい。これより先、ずっと信晴と心通わせることが叶わずとも、少なくとも、羽柴と佐竹の両家の友好の礎となることはできるはずだ。そして、そのことがひいては朱雀の国と青龍の国の架け橋になり得るのではないかと思うのだ。
 だが、一途に思い定める徳姫もまだ十七歳の恋する少女にすぎない。

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