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華のしずく~あなた色に染められて~

第8章 【雪の華~華のずく~】 三

 涙を拭って恥ずかしげに見上げる徳姫に、貞心院は微笑みかけた。徳姫の瞳に、その天女のような微笑は眩しく映った。
―貞心院さまのような女性になりたい。
 ふと、そんな想いが強く湧き上がった。
 徳姫の生母は、青龍の国の領主の娘とはいえ、側室腹であった。その点、母は違えども、脇腹で肩身の狭い想いをして育ったのは秀吉と同じであった。秀吉の父秀信の正室は嫉妬深い女で、側妾の生んだ庶子たちに冷たく当たった。

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