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華のしずく~あなた色に染められて~

第8章 【雪の華~華のずく~】 三

 伝え聞くところによれば、貞心院は狩人の娘であったという。偶然、遠乗りに出た信成に見初められ、正室に迎えられたのだそうだ。
いくら下克上の世とはいえ、佐竹氏はさかのぼれば鎌倉時代に端を発する名門である。その当主の正室に氏素性も定かではない娘を迎えるのはいかがなものかと当時の重臣たちは皆反対したが、当の信成が頑として譲らず、結局、貞心院が正室として迎えられたという。

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