華のしずく~あなた色に染められて~
第8章 【雪の華~華のずく~】 三
先代はよほど貞心院を愛していたのだろう。貞心院と信成の結婚生活はわずか一年足らずと短いものではあったが、信成の貞心院への寵愛ぶりは並々ならぬものであったと、当時を知る者たちは語っている。
確かに娘ほど年の違う徳姫から見ても、貞心院は十分に魅力的な女性であった。徳姫が知る限り、貞心院と亡き信成は周囲も羨むほどの仲睦まじき夫婦であったというが、そんな二人も若かりし頃には他の者が窺い知ることのない心の葛藤があったのかもしれない。
確かに娘ほど年の違う徳姫から見ても、貞心院は十分に魅力的な女性であった。徳姫が知る限り、貞心院と亡き信成は周囲も羨むほどの仲睦まじき夫婦であったというが、そんな二人も若かりし頃には他の者が窺い知ることのない心の葛藤があったのかもしれない。