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華のしずく~あなた色に染められて~

第9章 【蜩(ひぐらし)~華のしずく~】

 おふうの父飯田庄太夫は朱雀の国の領主佐竹信成に仕える足軽、つまり雑兵であったが、この度の青龍の国の領主羽柴秀吉との戦いで流れ矢に当たり、討ち死にを遂げた。母のお絹は七歳の妹お喜多と城下で暮らしていたが、この戦火で行方知れずとなったと聞いている。家族と離れて一人、城に奥仕えしていたおふうだけがただ一人、生きながらえているのだった。

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