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華のしずく~あなた色に染められて~

第1章 【華のしずく】~出逢い~

 母が商う組み紐の売り上げだけで慎ましく暮らす母子にとって、十五になる珠々は重要な働き手であった。母は家の中で一日中組み紐を編んでいる。
 それらを町へ売りに出るのは、珠々とすぐ下の妹麻阿(まあ)の仕事である。五歳になったばかりの弟の小吉(こきち)は口だけはいっぱしだが、まだまだ当てにはならない。

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