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華のしずく~あなた色に染められて~

第10章 【紫陽花~華のしずく~】一

 しかし、自分だけは、そんな上辺だけの穏やかさ、明朗さには騙されない。明子はそう思わずにはいられない。明子は昨日、はるばる京の都よりここ東方の国青龍へと到着したばかりであった。彼女は時の将軍足利義道の第五女である。母はやんごとなくも宮家より降嫁した姫宮であり、その血筋は天皇家にも近い高貴なものである。

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