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華のしずく~あなた色に染められて~

第2章 二

「何を考えておるのだ?」
 背後から突如として声をかけられ、珠々は飛び上がらんばかりに愕いた。
「庭を―見ておりました」
 珠々は手をつかえたまま、か細い声で応えた。
「そちとわしは世にも許された夫婦(めおと)じゃ。そのように他人行儀なふるまいは止せ」
 信成が言っても、珠々は面を上げようとしない。

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