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華のしずく~あなた色に染められて~

第2章 二

 彼は苦笑して、珠々の顎に手を掛けて仰向かせた。
「なにゆえ、そのような怯えた眼でわしを見る。まるで、蛇に見入られた蛙ではないか」
 信成がからかうように言い、珠々の顔を覗き込んだ。
「初めての夜はともかく、あれからわしがそちの嫌がることを一度たりともしたか?」
 信成の言葉の意味を察し、珠々はやり場のない心持ちで俯いた。

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