テキストサイズ

華のしずく~あなた色に染められて~

第10章 【紫陽花~華のしずく~】一

 身の震えに耐えている明子を、秀吉が面白げに見て言った。その口調には軽い揶揄の響きが込められている。
―私はからかわれているのだ。 
 明子の身体が憤怒に熱くなった。
「いいえ、飲めまする!」
 きっぱりと言い、秀吉の手からさっとグラスを奪い取る。白い喉をのけぞらせて、ひと息にグラスの中身を流し込んだ。
「良い飲みっぷりだ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ