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華のしずく~あなた色に染められて~

第10章 【紫陽花~華のしずく~】一

 その時、ハッと明子の中で閃くものがあった。
「間者を潜ませられましたか」
 明子の眼裏に葛葉の白い顔が浮かんだ。今年十八になるという娘の、どことはなく男好きのする派手やかな美貌が浮かんで消えた。
「葛葉は殿のお手付きの女子でございますな」
 明子の問いに、秀吉は不敵な笑みを見せた。
「さあ、それはどうかな」

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