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華のしずく~あなた色に染められて~

第10章 【紫陽花~華のしずく~】一

 そう言い残すと、秀吉はさっさと寝室をでていった。明子だけがただ独り広い寝台の上に取り残された。改めて安堵の吐息が洩れたが、また、肩透かしを喰らわされたような気持ちがあることも事実である。その複雑な心情の中に、ほのかに秀吉への想いが芽生え始めていた。そのことに、当の明子はまだ気付いてはいない。

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