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華のしずく~あなた色に染められて~

第11章 【紫陽花~華のしずく~】二

 秀吉がすっと手を伸ばした。もののふらしい分厚く逞しい手のひらがそっと明子の髪に触れる。
「俺は、そなたを嫌うてなどおらぬ。―しかし、先夜、そちの申したように、今も忘れ得ぬ女がおるのは事実だ」
 秀吉が明子を抱き寄せ、呟く。
「そなたには酷いことを申すようだが」

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