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華のしずく~あなた色に染められて~

第11章 【紫陽花~華のしずく~】二

「ええ、お金が必要なんです。私、拓人さんの家を出ることになりましたから」
 そのひと言は涼子に予想外の打撃を与えたらしい。彼女は長いウエーブヘアを鬱陶しそうにかき上げた。
 何か言いたそうな彼女に、愛奈は言ってやる。
「あなたは何か誤解してるんじゃないですか。私は別に拓人さんとは何の関係もないんです。拓人さんは従兄で、私にとってはお兄ちゃんも同然の身内です」

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