テキストサイズ

華のしずく~あなた色に染められて~

第11章 【紫陽花~華のしずく~】二

 と、涼子が鮮やかに塗られたワインレッド色の唇を引き上げた。
「あんたの気持ちなんて、私には関係ないのよ、お嬢ちゃん」
 涼子は愛奈からつと視線を逸らし、あらぬ方を向いた。その横顔に愛奈はハッとした。綺麗にメークをしているが、そのどこか疲れの滲んだ表情には初対面のときに感じた若さは微塵もなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ