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華のしずく~あなた色に染められて~

第11章 【紫陽花~華のしずく~】二

「あたしにとって大切なのは、あの男(ひと)の心がどこに向かっているのかなんだから。拓人さんが私を見てくれなきゃ意味がないのよ。だから、あたしはあんたに拓人さんは渡さない。あたしにはあの男と過ごした二年間があるわ。たとえあんたがどれだけ邪魔をしようが、男と女として過ごした二年はあんたが入り込めないものなの」
 涼子は一方的に喋るだけ喋ると、再び煙草に火を付けた。

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