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華のしずく~あなた色に染められて~

第12章 【残菊~華のしずく~】序章

 五喜は哀しくなった。藍丸を歓ばせようと一生懸命に作ったのに―。五喜の眼に大粒の涙が盛り上がったのを見て、藍丸が慌てた。
「も、申し訳ござりませぬ」
 いつも女の子と勘違いされるばかりなので、つい言ってしまったが、自分の心ないひと言が五喜の幼い心をひどく傷つけたことがよく判った。
「どうか泣かないで下さい。五喜様に泣かれると、私はどうして良いか判らなくなります」 藍丸が心底済まなさそうに謝ると、五喜が涙のたまった眼を藍丸に向けた。

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