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華のしずく~あなた色に染められて~

第12章 【残菊~華のしずく~】序章

 藍丸の頬がいっそう赤くなった。嫌いであるはずがない。この歩き出した御所人形のような可憐な少女が我が家に来たときから、藍丸はひとめで好きになったのだ。妹のおらぬ藍丸を兄のように慕い、いつ、どこへゆくのも後をついてきた少女。淡い思慕は少しずつ、確実に深まり、遠い将来、いつしか少女を妻に迎えることができたならと子ども心に考えるようになった。

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