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華のしずく~あなた色に染められて~

第13章 【残菊~華のしずく~】一

 時治の口から聞く秀吉の人柄は懐の深い、大きな男で、流石に天下を取ると言われるだけはあると思えた。ゆえに、今宵目通りするまでの秀吉への恐怖は、あくまでも外見的なものにすぎなかったのだが―、時治から伝え聞く秀吉の人となりすべてを信じていたわけでもなかったのだ。
あまりに秀吉を信ずるがために秀吉の短所すら時治に見えなくなっている怖れもある。そう思っていたのだが、今宵間近に接した秀吉は、時治の言葉どおりの人物であった。

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