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華のしずく~あなた色に染められて~

第14章 【残菊~華のしずく~】二

「時治様、時寿様のことをそのように申し上げてはなりませぬ。私、この青龍の国に参って以来、時寿様にいかほどの恩義を蒙りましたか知れませぬ。幼くして故郷を遠く離れての淋しさも、時寿様や、おこん様、砂山家の方々のお陰で紛れました」
 たった七歳で父母と別れ、一人異国へとやって来た当時、五喜は淋しくて泣いてばかりいたものだ。だが、砂山家の時寿もおこんも五喜に実の娘のような愛情を注いでくれた。

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