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華のしずく~あなた色に染められて~

第14章 【残菊~華のしずく~】二

 その時寿のことをたとえ何があったからと言って、恨んだりできるものではない。ましてや、主君秀吉の命は絶対的ものなのだ。いかに時寿がその命に従わず、五喜を城に上げなかったからと言って、事態は何も変わらないだろう。結句、五喜は城に召し上げられ、時寿は秀吉の怒りに触れ、砂山家もどうなるか判らない。
 あの時、時寿は涙を呑んで、五喜を秀吉の許へゆかせるしか術はなかったはずだ。

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