テキストサイズ

華のしずく~あなた色に染められて~

第16章 【夢のなか~華のしずく~】 光の祈り人

 秀吉はひとめで少女に魅せられた。が、少女は秀吉の心中なぞ知らぬげに、すぐに前に向き直り、美しい聖歌の輪の中に入ってゆく。
 しばらくしてミサが終わった後、人々が次々に礼拝堂から出てゆく。その人群に混じり立ち上がりかけた少女に、秀吉は急いで声をかけた。
「先刻は済まぬ」
 つと少女が振り向く。その顔が花のようにほころんだ。
「いいのよ。今度から気をつけてね」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ