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　父は生粋の町人ではない。元々は名のある武将に仕えた足軽だったという。だが、下克上の乱世の習いで、仕えていた主君が重臣に暗殺され、禄を失ったのだ。そのため、侍の身分を捨てて、この森の中で暮らすようになった。
　そのときには既に珠々は三歳になっていたが、今の珠々に当時の記憶は一切残ってはいない。物心ついた時、既に父は今の父であった。珠々は武士ではなく、猟師の娘として育った。