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華のしずく~あなた色に染められて~

第1章 【華のしずく】~出逢い~

 母は父が禄を失ったことがよほど悔しいらしく、事ある毎に悔やんだ。
―とと様に弓を引かせれば、なまじのおん大将よりはよほど強かったものを。もしも世が世ならば、とと様ほどの器量ならば、足軽大将、いや侍大将にはなったやもしれぬ。珠々も男の子であれば、良かったの。今の世は身分なぞ関わりなく、力と才覚があれば、幾らでも己れの力量次第で立身できる。さすれば、一国一城の主も夢ではない。

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