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華のしずく~あなた色に染められて~

第16章 【夢のなか~華のしずく~】 光の祈り人

「ええ、あなたは涙は流してはいないけれど、心の中で血の涙を流している。でも、でうす様はすべての人を赦せとおっしゃったわ。お義母様のことを憎まないでね」
 次の刹那、秀吉の身体はふうわりと千都の胸に抱かれていた。千都の胸に幼子のように抱かれた秀吉に、生母の優しい笑顔が蘇る。
 やわらかな感触、あたたかな温もり、甘い香りは、亡き母に優しくあやされたときに感じたものに似ていた。

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