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華のしずく~あなた色に染められて~

第16章 【夢のなか~華のしずく~】 光の祈り人

 秀吉の胸の中にぽっかりと空いた孤独という名の空洞が温かなもので満たされた。義母の冷酷な仕打ちの数々によって凍えた氷のような心が春の光に照らされたように溶けだしてゆく。
 不思議なことだった。ひとめで恋に落ち、あれほど再会を夢見て恋い焦がれた少女に抱かれながらも、秀吉はその時、それを異性というよりは母との抱擁のようにしか思えなかった。

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