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華のしずく~あなた色に染められて~

第18章 【花紋~華のしずく~】 一

 広子が嫁いできたのは二十歳の春のことで、当時、麗子は十四歳になっていた。広子は一度、他家へ嫁した身であり、良人に早くに死別した後、実琳の継室となったのである。
 広子の実家も桜町中納言家、つまり実琳の家と似たような中流貴族であった。嫁いできた一年後、広子は嫡男の雅琳(まさあきら)を生み、更に続いて姫をあげた。気の弱い実琳は広子に遠慮して麗子よりも広子の生んだ子どもたちを可愛がるようになった。

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