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華のしずく~あなた色に染められて~

第18章 【花紋~華のしずく~】 一

「鳥のように翼があれば、自由にどこまでも飛んでゆける、か」
 信斉がポツリと呟いた。その手には麗子に手渡そうとした手ぬぐいが握りしめられていた。信斉の頭上で鳥の鳴き声が聞こえた。
 ふと仰ぎ見ると、先刻の目白だろうか、桜の枝に一羽の鳥が翼をやすめていた。目白は信斉を物言いたげな眼で見つめていたかと思うと、やがて、羽音を響かせて飛び立った。


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