華のしずく~あなた色に染められて~
第19章 【花紋~華のしずく~】 二
朱雀の国には昔から数多くの天然の温泉が点在している。館の近くの温泉もその一つで、小さいけれど、気持ちの良い湧き湯を満々と湛えていて、傷や打ち身、神経痛などに効くといわれていた。自然の苔むした岩と樹木に囲まれたいで湯には誰の姿も見えず、麗子はホッとして着物を脱いで、湯の中へと入った。
周囲の岩はうっすらと雪化粧をし、一角の岩の真上から自然に湧き出てくる湯が小さな滝のように温泉へと流れ落ちてきている。白一色に包まれた静寂の中、滝の音だけが響いていた。
周囲の岩はうっすらと雪化粧をし、一角の岩の真上から自然に湧き出てくる湯が小さな滝のように温泉へと流れ落ちてきている。白一色に包まれた静寂の中、滝の音だけが響いていた。