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華のしずく~あなた色に染められて~

第19章 【花紋~華のしずく~】 二

 麗子は空を見上げていた。
 こんな風に一日中空ばかり眺め続けて、もうどれくらい経つのだろう。
 指を折って数えてみようとしたけれど、判らない。
 でも、すぐに、そんなことはどうでも良いように思えて、淡く微笑む。
 そう、このまま何も考えず、何も語らず、こうして、ここで―この桜の樹の下でずうっと座っていれば良い。そうすれば、嫌なことは何も知らなくて済む。

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