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華のしずく~あなた色に染められて~

第20章 【朱夏~華のしずく~】

「そなた、名は」
「え―」
 藍丸は言葉につまり、それから「らん―」と言いかけ、また口をつぐんだ。
「お蘭、蘭の花の蘭か」
 また訊ねられ、仕方なしに頷く。
「そうか」
 男は前方を見つめたまま頷いた。
「ほら、あそこが砂山の屋敷だ」
 男が止まり、前方を指した。少し手前に、屋敷の門が見えている。

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