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華のしずく~あなた色に染められて~

第20章 【朱夏~華のしずく~】

 その時、蘭丸の中で閃くものがあった。
「お、お屋形様っ?」
 蘭丸はその一声と共にその場に平伏した。
「も、申し訳ござりませぬ。私は砂山時寿が舎弟、藍丸と申し、このようななりをしておるには事情がございまして」
「藍丸―、されば、時寿が末の弟であるか」
 流石に若い男―秀吉も愕いたようであった。そう、この男こそこの国の領主、今や「蒼き龍」と呼ばれて近隣諸国より怖れられている戦国武将であった。

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