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華のしずく~あなた色に染められて~

第22章 【夕桜~華のしずく~】其の壱~飛花~

 帰蝶の疑問はもっともであった。一之進は苦渋に満ちた表情で、深い息を吐いた。
「たとえ殿が謀反を企まれたのではないとしても、結句、その重臣、しかも傅役(もりやく)の仕業でござる、秀康様がとりあえずは殿のお身柄を拘束なされんとしたのも道理―、さりながら、殿はそのことをいたく苦になさり、あのように早うにご生害をなされたのではござりますまいかと皆が申しておりまする」
「―!」
 帰蝶は息を呑んだ。

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