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華のしずく~あなた色に染められて~

第24章 【夕桜~華のしずく~】其の参~山梔子(くちなし)の夜~

「殿がお渡りになられましてございまする」
 侍女茜が告げると、帰蝶は小さな息を吐き出し、立ち上がった。次の間へと続く襖を開ける。その部屋には絹の夜具がのべてあった。
 枕許へ端座すると、帰蝶は両手をつかえて秀康を迎え入れた。
 寝所の襖が静かに閉まる。二人だけの寝室で夜具をはさんで向き合う。婚礼の翌日の夜、表御殿から秀康のお渡りがあると知らされた。

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