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華のしずく~あなた色に染められて~

第24章 【夕桜~華のしずく~】其の参~山梔子(くちなし)の夜~

 だが、秀康の愛撫は執拗であった。秀継との優しい睦み合いしか知らぬ帰蝶の身体は、いまだ花開かぬ蕾のようであった。それが今、秀康の荒々しい抱擁によって無残に踏みにじられ、散らされてゆく。
「―!!」
 あまりの荒々しさに、帰蝶は怯えて、逃れようと抗った。
 どんなことがあっても声を上げるまい、髪の毛ひとすじも乱すまいと決めていたはずなのに、巧みな愛撫によって、帰蝶の身体が他人のものであるかのように反応してゆく。

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